設備の特徴

当館のプラネタリウムをご紹介します。

葛飾区郷土と天文の博物館のプラネタリウムは、2007年3月にリニューアルした「ジェミニスター3 Katsushika」です。
「ジェミニ」とは「ふたご座」のこと。レンズを使って美しい星空を映す「光学式プラネタリウム」、CGで迫力ある宇宙を表現する「デジタルプラネタリウム」の2つが一つに融合したシステムです。
「Katsushika」が付いているのは、葛飾区だけのオリジナルだから。1991年に導入した光学式プラネタリウムを生かしながらグレードアップし、世界最新・最強のデジタルプラネタリウム「スカイマックスDS2-R2」を導入、さらにレスポンスアナライザシステム(座席のボタンを使った集計システム)、レーザープロジェクタ、既存の補助投映機とも完全に統合し、当館ならではの機能と操作性を追求した特別仕様機です。

プラネタリウムのデータ
  • 機種:ジェミニスター3 Katsushika
    • ・光学式プラネタリウム:
       インフィニウムβ特別仕様機…1991年導入/2007年改修
    • ・デジタルプラネタリウム:
       スカイマックスDS2-R2…2007年導入/2010年改修
  • ドーム:直径18m / 15度傾斜
  • 座席数:172席

プラネタリウムドーム ~将来を見通していた基本設計~

「全天周映画よりもプラネタリウムを重視。新しい映像機器を駆使しつつも、生解説・手動操作・オリジナル番組の制作が自在にできるプラネタリウム。」
これは、1989年に着工される前に決められていた、当館プラネタリウムの基本方針。現在の当館の姿が既にここに描かれています。
当館のドームの形状、傾斜角、スクリーンの特性、レイアウト、そして機器の仕様などは、こうした基本方針にもとづいて綿密な検討を経て決められたもの。1991年の開館以来全くブレない当館の投映スタイルに最適化された設備なのです。
座席から星空を見上げてみるとすぐ分かります。当館プラネタリウムは、傾斜型ドームによくある「丸いスクリーンを眺めている」感覚がなく、「星空に包まれている」感覚を味わえることを。

デジタルプラネタリウム

時間と空間を超えた宇宙の旅を演出

中央に設置した光学式プラネタリウムではなく、ドームの周囲6か所にあるプロジェクターからドーム全体にCGの宇宙を描くのがデジタルプラネタリウムです。
当館のデジタルプラネタリウムシステム「スカイマックスDS2(海外ではDigitalSky2)」は、世界各地の先進的なプラネタリウムでも採用されている強力かつ柔軟なシミュレーション機能を持ったシステム。地上から見た星空はもちろん、137億光年彼方までの宇宙空間と、±100万年の時間を自由に旅することができます。

さまざまな最新機能

当館で導入しているのは、「スカイマックスDS2」の最新バージョンであるR2(リリース2)。
一つ一つが正しい軌道で公転する小惑星、オーロラなどの大気現象、最新の系外惑星系データ、銀河系の三次元モデル、地球・月・火星の詳細な地形データなど、世界最先端の機能をフル装備しています。

全宇宙の三次元デジタル地図「デジタルユニバース」

当館が日本で始めて導入し、デジタルプラネタリウムの新しい時代を切り拓いた「デジタルユニバース」。ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館がNASAの協力のもとに制作した全宇宙の三次元地図データです。
世界のさまざまな研究機関による観測データをデジタルプラネタリウムに組み込むことで、人類が観測可能な最も遠い137億光年彼方までのさまざまな天体や、電波・赤外線・ガンマ線など様々な波長で見た宇宙を表現できるようになります。

アメリカ自然史博物館ヘイドンプラネタリウムによるデジタル・ユニバースの解説(英語)

当館独自のデータ

当館では、オリジナル番組制作で磨かれた技術力を駆使し、さまざまなデータを自ら制作しています。
例えば、さまざまな探査機や天体の三次元モデル、新しい天体の軌道データ、最新の観測成果に基づいた天体データ…。こうしたオリジナルのデータによって、他では体験できない映像や、最新の宇宙の姿を表現することができます。
さらに、オリジナルのパノラマ(地上風景)などの映像も数多く制作。さまざまな場所から見た星空を演出します。
こうして、当館のデジタルプラネタリウムはスタッフの手によってこれからも進化を続けます。

本来の性能をフルに活かす「リアルタイム演出」

各地の施設で同じプラネタリウム番組が上映されています。しかし、当館で制作した番組は、全く同じ機種を持つ施設でしか上映することができません。なぜでしょうか。
実は、他のデジタルプラネタリウム館で上映している「番組」の殆どは「プラネタリウム番組」ではなく「全天CG映画」。ここまで紹介したデジタルプラネタリウムの機能は一切使わず、配給されたビデオを再生しているだけです。
しかし当館の番組は、デジタルプラネタリウムがその瞬間に描き出す「リアルタイム演出」。デジタルプラネタリウム本来の機能を駆使する高度な技術が要求されるためメーカーやプロダクションも殆ど制作していない、「本当のプラネタリウム番組」です。

光学式プラネタリウム ~美しい星空を演出~

どんなにデジタルプラネタリウムの解像度が高くなっても、漆黒の空にきらめく星々を表現することは当分できないでしょう。星空の美しさではまだ光学式プラネタリウムが勝っています。
ドーム中央にある光学式プラネタリウム「インフィニウムβ特別仕様機」は1991年に導入したものですが、この時点から他館にはない当館独自の機能を数多く取り入れており、それらは現在でも十分通用するものです。
そこで、2007年のリニューアルでは、投映機はそのまま残しつつ内部を大幅に改造してグレードアップ。星はよりシャープになり、星の数は15,000個から360,000個に増え、天の川も細かな星の集合体として描写されるようになりました。明るい星の色や代表的な星雲や星団も再現しています。光学系の改良により、星がより明るく、わかりやすくなりました。
単に星の数の多さを誇るプラネタリウムもありますが、当館ではデジタルプラネタリウムと高度に組み合わせながら、さらなるリアリティを追求しています。

惑星投映機 ~「今日」の星空を演出するために~

光学式プラネタリウムの前に設置されている7台の青い投映機は、太陽・月・惑星の投映機。光学式プラネタリウムと連動し、地球や太陽系内のさまざまな時代の星空を瞬時に再現することができます。
最近では月や惑星の投映を省略するプラネタリウム館が多いようですが、当館のほとんどの番組の星空解説では月や惑星を正しく演出しています。

効果照明 ~美しい空を染め上げるためのこだわり~

当館のドーム内照明は、惑星投映機の前に設置されています。「ドーム」を照明するのではなく、「空」を美しく演出するために、他館ではあまり見られない方式をあえて採用。さらに当館独自の数々の工夫とこだわりが盛り込まれています。
照明の一部はLED化され、これからも進化を続けています。

レスポンスアナライザシステム ~「参加する」プラネタリウムへ~

1991年の開館当初から当館の名物だった座席のボタン。正式には「レスポンスアナライザシステム」といいます。
番組の中でクイズやアンケートを行ったり、その結果で番組の内容が変わっていくなど、「見る」だけでなく「参加する」ことができる、インタラクティブな番組ができるようになっています。
このシステムによって、夏の名物番組「クイズ!スター&プラネット」のように、これまでのプラネタリウムのイメージを打ち破る番組も登場しました。

プロジェクションギャラリー ~デジタルではできない特殊効果を演出~

ドーム後ろ側の窓ガラスの中には、さまざまな補助投映機が設置されています。デジタルプラネタリウムの登場によって出番は少なくなりましたが、雪・雨・虹・雷などの現象を表現する特殊投映機、フルカラーのレーザー光線投映機などはまだ現役です。

音響システム ~静かな音楽から迫力あるサウンドまで~

ドームの裏には大型のスピーカーが6台設置され、客席を包み込むような臨場感あるサウンドを再生します。さらにドーム前部には4台の重低音専用のスピーカー、周囲には6台のナレーション用の補助スピーカーが設置され、鮮明で迫力のあるサウンドを再生することができます。
さらに当館では、サウンドトラックの最終仕上げはスタジオではなくドーム内で行ない、当館の音響システムの能力を最大限に引き出しています。

  • 主な音響機器
  • ・6.2チャンネル スピーカーシステム:
     メインスピーカー JBL特注(低音用 2226H/中高音用 2380A)
     スーパーウーファー DIATONE DS-W641
     補助スピーカー DIATONE DS-77Z
     パワーアンプ Accuphase PRO-5, PRO-2
  • ・解説用コンデンサーマイク SONY C-38B
  • ・ミキサー YAMAHA 01V96

コンソール ~宇宙の旅の操縦席~

プラネタリウムドームの最後部にあるコンソール。
光学式プラネタリウムとデジタルプラネタリウム、そして2系統の補助投映機の制御システムをあたかも一つのシステムのように制御することができます。
さらに、デジタルプラネタリウムをより高度に活用するために、当館独自の操作性も追求。マウスの操作ひとつで自由自在に宇宙空間を飛行できます。
あなたが番組をご覧になっている時、解説者はまっ暗なコンソールでシステムを操りながら解説をしているのです。

番組制作環境 ~オリジナル番組はここで作られる~

プラネタリウムとは別室にプラネタリウムシステムと一体となった番組制作端末が4台あり、ここでさまざまな番組を制作しています。
デジタルプラネタリウムシステムのほか、画像・動画・音声・三次元モデルなどの制作環境や全天動画の処理環境があり、番組素材制作からプログラミングまでの作業を行うことができます。
こうして制作した素材やプログラムはすぐにプラネタリウムシステムに反映させることができます。

優れた機器を活かしきる技術力・企画力 ~すでに世界水準へ~

どんなに新しく、どんなに優れた設備を導入しても、それを使いこなすことができなければ全く意味がありません。葛飾区のプラネタリウムが本当に誇ることができるのは機器やそのスペックではなく、機器の持つ能力を十分に引き出し駆使できる高い技術力と、クリエイティブな番組企画力を持っていることです。
番組制作を行なわず、デジタルプラネタリウムの機能とは無関係な全天動画作品を買って流すだけのプラネタリウムが多い中、当館では独自のポリシーのもと、全ての番組を専門職員が制作し、自ら操作・解説します。いずれも当館のシステムの持つ優れた機能をフルに活かした番組です。
そのレベルはすでに国内を大きくリードするだけでなく、世界でも通用するレベルに到達しています。例えば、

世界最先端のプラネタリウム・ハワイ島の「イミロア天文学センター」で、当館制作のプラネタリウムコンサートの海外公演を開催。(2009年)

米国バトンルージュ市で開かれた国際プラネタリウム協会大会の併催イベント「ドームフェスト2012」で、プラネタリウム番組として唯一のファイナリストに。(2012年)

これからも、デジタルプラネタリウムの新たな可能性を切り拓くために、海外との技術交流などを通し、さらなるレベルアップを図っていきます。